加彩鎮墓獣
かさいちんぼじゅう
概要
虎に似た姿、両肩に生えた翼などから、中国古代における空想上の動物「辟邪」を表したものと推測される。背中と腹に孔が開いている。その孔に棒状のものを挿して貫通させる器座であるとともに、墓室内に副葬されたものであれば、墓へ侵入しようとする邪悪なものを払いのける一種の鎮墓獣としての役割も期待されたであろう。頭頂部の左右に円孔が2個ずつ均等に並ぶ。これらの孔には別作りの角や耳などが挿しこまれていたと考えられる。四肢および腹の角張った粗雑な仕上げ方は、後漢末から西晋時代にかけての一角の鎮墓獣や牛を象った加彩陶と共通する。本作は当時の鎮墓獣に採用された造形の多様性を示す可能性があり、注目される。