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充内供奉治部省牒(円珍関係文書の内)

ないぐぶにあてるじぶしょうちょう えんちんかんけいもんじょのうち

概要

充内供奉治部省牒(円珍関係文書の内)

ないぐぶにあてるじぶしょうちょう えんちんかんけいもんじょのうち

平安時代・嘉祥3年(850)

紙本墨書

本紙 縦29.3 長さ139.0

1巻

国宝

 円珍は讃岐国、いまの香川県に生まれ、若い頃から比叡山延暦寺で天台仏教の修行を究めました。
 仁寿3年(853)、求法のため、商船に便乗して唐に渡りました。6年間の在唐中に密教の奥義を学び、帰国後は園城寺(三井寺)を創建して、没後に智証大師の号を贈られました。
 この「充内供奉治部省牒」は、円珍が38歳の時、宮中において仏教の儀式を行う内供奉という役職に任命されたとき、僧侶を監督する治部省という省庁から発行された辞令書です。特にこの作品は仁寿3年(853)に円珍が唐時代の中国に留学する際、右大臣藤原良房に頼んで書の優秀な人物に書いてもらったもので、切れ味のある格調高い文字が行間をたっぷりとってのびやかに記されています。円珍が唐に到着した折、これを見た高官が賞賛し、なかには書き写した人物もあったと伝えられています。
 歴史史料としても、中国留学前後における円珍の活動、当時の日中交流を具体的に知る上でも、貴重な作品と言えるでしょう。

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