木瓜三引両紋散花蒔絵阿古陀香炉
モッコウミツビキリョウモンチラシハナマキエアコダコウロ
概要
六葉形の姿が阿古陀瓜(あこだうり)に似ているところから、「阿古陀香炉」と呼ばれる香炉である。香道では「火取香炉(ひとりごうろ)」と呼び、火の起きた香炭団(たどん)を香席へ運ぶための香炉として使用するが、もとは平安時代の貴族が部屋や衣服に香を薫きしめる際に用いた香炉の形式である。通常、金属製の網の火屋(ほや)を乗せる。本作品も籠目の透かし彫りを施した金銅製火屋を備える。本体は木製で、口に金銅製の覆輪をつけて火屋を受ける。本作品の場合、黒色漆を塗った上に金平目地を作り、その上に焼金、青金の粉による平蒔絵と、金銀の薄板を切った金貝によって、木瓜に三つ引紋を表している。内部や底はより疎らな平目地で無文。木瓜紋のみの意匠であるが、金属の種類や蒔絵技法を変え、紋の向きを違え、ランダムに配置しているので、単調でない楽しい文様を作っている。