小壺
こつぼ
概要
小さな胴部から口頸部が直立する褐色の小型壺で、粗雑な成形からミニチュア土器の可能性がある。東南アジアで精製と粗製の土器の分化見られるのは、後期新石器時代以降である。しかし、タイの土器編年は精製土器を中心として編まれており、本品のような粗製土器については不明な点が多い。本品は新石器時代のような丸底ではなく、鉄器時代の平底を意識した小平底である。そこで、後期新石器時代から鉄器時代に移行する時期、紀元前1千年紀のうちに年代を押さえられる。タイ東北部では、バーンチェン遺跡で知られる装飾土器の文化が知られているが、本品はそのような精製土器と共に、タイの先史土器文化を構成した粗製土器の例として学術的に貴重である。