壺
つぼ
概要
算盤玉形の胴部にラッパ状の口縁部が付く赤褐色の壺である。底部は小さな上げ底で、赤色顔料をスリップに溶き、全面に塗布する。出土地のバーンプラサート遺跡は、新石器時代から鉄器時代にかけて形成された遺跡で、紀元前3世紀に営まれた墓地遺構から出土した「バーンプラサート式土器」が鉄器時代の土器型式になっている。タイ東北部では、装飾性の高いバーンチェン式土器に後続する型式で、ナコンラーチャシーマー県やブリラム県を中心に分布し、本品の特徴とも合致する。このような土器文化は、通婚圏または交易圏の広がりを示すものと理解され、本品は、鉄器時代におけるタイ東北部の土器文化の広がりを示す資料として、学術的に貴重である。