朱漆練行衆盤
しゅうるしれんぎょうしゅうばん
概要
奈良・東大寺に伝来する練行衆盤(重要文化財、永仁六年(1298))は、二月堂の修二会において練行衆が食事をする際に用いた盤で、裏面に制作年月や漆工名を示す銘文を持つことから中世漆器の希少な基準作として大変重要な存在である。本品は、この東大寺練行衆盤と一連のものであり、民間に数枚現存するうちの貴重な一である。
黒漆塗の地に朱漆の上塗を施したいわゆる根来塗で、表面の朱漆と、経年により露出した黒漆のコントラストが雅味ある見所となっている。練行衆盤は根来塗の遺品においても、近代以降の数寄者にとりわけ人気で、朱色・円形であることから「日の丸盆」、紀年銘から「永仁盆」とも呼ばれ珍重された。