行書琴操十首冊
ぎょうしょきんそうじっしゅさつ
概要
王寵(字履仁@りじん@、履吉@りきつ@、号雅宜山人@がぎさんじん@)は蘇州の商家出身。官職に就けず蘇州郊外の洞庭に3年住み、石湖畔で20年読書して学問に励みました。32歳時に韓愈@かんゆ@「琴操十首」を石湖畔で書いた本作は鍾繇@しょうよう@や王羲之@おうぎし@、虞世南@ぐせいなん@らの書法に素地を得た温和な趣の行楷書です。
本作に用いられる金粟山蔵経紙@きんぞくざんぞうきょうし@は、唐時代の硬黄紙@こうこうし@(黄蘗染@きはだぞ@めをして蜜蠟@みつろう@を塗布した加工紙)の技術を受け継ぎ、北宋時代に金粟山広恵禅院@こうけいぜんいん@(浙江省)の大蔵経用紙として生産されました。艶があり滑らかな上質紙で、防虫・耐水性にも優れ、後世まで書写や表装に用いられて珍重されました。