七弦琴
しちげんきん
概要
唐時代の中国で製作され、奈良時代にわが国に伝えられた楽器、七弦の琴(きん)です。桐の木で作られた本体に黒い漆を塗って仕上げられています。一般的な日本の筝(こと)は13本の弦にそれぞれ琴柱(ことじ)を立て、1本の弦で1つの音を出します。この琴は弦を指で押えて、1本の弦で高低さまざまな音を出します。琴の上面には、丸く切った貝を一列に13個はめ込み、弦を押える場所を示しています。また、弦を通すための帯状の突起も設けられています。裏には縦長の響き孔が2つ開けられています。
なお、胴の内部には、中国・唐時代、玄宗皇帝が在位していた開元12年(724)に、四川省成都市に近い九隴県(きゅうろうけん)という場所で作られたことが墨で書かれています。製作された年と場所が明らかな琴としては世界最古の作例であり、東アジアの音楽史上においても極めて貴重な作品です。