御馬献上行列図
おうまけんじょうぎょうれつず
概要
江戸幕府が京都の朝廷へ馬を献上する「八朔御馬進献(はっさくのおうましんけん)」の行列を描いた肉筆の浮世絵です。八朔とは8月1日のこと、この日に馬を献上するのは重要な年中行事でした。富士山を背に東海道を進む一行。徳川家の家紋(かもん)である葵(あおい)の紋を思い起こさせる丸い模様が入った布が馬に掛けられています。
作者の歌川広重(うたがわひろしげ)は下級武士である火消しの子で、広重自身も武士でした。子孫の言い伝えによると、広重もこの一行に加わったとされています。この作品は、広重が実際に見た風景をもとに描かれたのかもしれません。
画家の署名である落款(らっかん)には、「求めに応じ広重謹んで画く」と書かれていることから、注文制作であることがわかります。武士の行列は一般的に好まれる題材ではないため、この行事に関わった高い位の人からの注文であることが考えられます。