饕餮文瓿
とうてつもんほう
概要
今から3000年以上も昔の殷(いん)時代には、儀礼に用いるための青銅容器がさかんに作られました。この作品もそのひとつ。儀礼の際にお酒などをいれるための容器です。本来は黄金色に輝いていましたが、いまは全体が錆に覆われて緑色を呈しています。
表面には大きな瞳と巻き角をもつ、体のない怪獣があらわされています。これは饕餮(とうてつ)と呼ばれ、当時あがめられた神のすがたと考えられています。蓋にも同様の饕餮があしらわれています。上から覗き込むことを想定したのでしょうか。上下が逆さにあらわされています。蓋のつまみはとぐろを巻いた蛇のようですが、頭には2本の角があり、龍の一種と考えられます。龍は、饕餮のまわりにも付き従うようにあらわされています。それらが見事にうつわ全体にめぐらされ、ひとつの世界観を構築しているのです。