一休和尚像
いっきゅうおしょうぞう
概要
体を斜めに向け、視線をこちらに送る人物。これは、室町時代の禅僧、一休宗純(そうじゅん)を描いた肖像画です。後世に創作されたとんち話でよく知られる一休ですが、実際は、過激な言動で当時の禅宗を痛烈に批判した、型破りな人でした。
この肖像画の一休は、ぼさぼさの髪に深いしわ、伸び放題の無精ひげなど、あまり身だしなみが整っているようには見えません。実はこの絵、元々は下絵だったと考えられています。正式な肖像画を描く際に参照するものとして、細かい部分までありのままに描写したのでしょう。それにより、生々しいリアルな肖像となり、実際に一休と向かい合っているような緊張感が漂います。
肖像画の上に書かれた文は、一休が残した言葉を弟子が写したものです。自分以外に禅を語れるものはいないと宣言しています。肖像画の一休の何ともふてぶてしい表情は、その宣言を反映しているかのようです。