鉄絵寿老人図皿
てつえじゅろうじんずさら
概要
鉄絵寿老人図皿
てつえじゅろうじんずさら
(皿)イギリス/(絵付)初代尾形周平 (1788-1839)
おがたしゅうへい
江戸時代/19世紀前期
クリームウェア
高2.6 径25.5
1枚
来歴:1987神戸市立博物館
参考文献:
・愛知県陶磁資料館『阿蘭陀焼 憧れのプリントウェア―海を渡ったヨーロッパ陶磁』(2011)
・兵庫陶芸美術館『尾形周平展』(2013)
・神戸市立博物館『まじわる文化 つなぐ歴史 むすぶ美―神戸市立博物館名品撰―』(2019)
長崎貿易を通じて日本に渡ったイギリス製クリームウェアに、京都の陶工・尾形周平(1788~1839)による絵付が施されています。鉄絵で見込みに「寿老人」、縁に「蝙蝠」が描き込まれていますが、前者は長寿の象徴、後者は「福」の字と音が通じ、何れも吉祥のモチーフです。寿老人の衣服をみると、周平は凹凸を表わす際に、色の濃淡に加えて、銅版画に用いられるハッチングの技法(線を連ねて陰影を表わす技法)を採り入れています。底面には、筆記体を意識した洋文字のような赤絵銘「尾形周平/之寫」を確認でき、周平の異国趣味への関心が顕在化しています。収納箱の蓋表には「紅毛寿老人繪平鉢」の書付が残ります。
周平は、初代高橋道八(1740~1804)の三男で、同時代に活動した陶工・仁阿弥道八(1783~1855)の弟にあたります。尾形乾山の製陶法を学んだことを契機に私淑し、尾形性を名乗ったとされます。なお、姫路の東山焼、淡路の珉平焼の指導にもあたっており、兵庫の焼物にゆかりのある人物ともいえるでしょう。
【近世・近代の漆工・陶磁器・染織】