藍絵花卉文四段重
あいえかきもんよんだんじゅう
概要
19世紀に京都周辺で作製されたと考えられる軟質陶器。オランダのデルフト陶器に着想を得た「阿蘭陀写し」に連なるもので、今日京阿蘭陀と呼ばれる作品の一つ。
器体には、白化粧が施され、外側には藍絵によって唐草に花卉文が白地を埋め尽くすように描かれています。蓋の内側、及び各段の内側、底面は白化粧のみでシンプルです。各段の意匠は、積み重ねた際に、とぎれることなく、ぴったりと合うように整合性がとれています。各所に配された花弁は、色の濃淡とともに、点描を用いた陰影を確認でき、質感に富む描写となっています。花弁の中心部分をみると、蕾の状態のものや開花したものなど、対象の生態を捉えて、上手く描き分けられています。
収納箱に文化13年(1816)の書付があり、現在確認されている京阿蘭陀の作例のなかでは最も早い年記を有している点で貴重です。
【近世・近代の漆工・陶磁器・染織】