河口の稚児の舞
かわぐちのちごのまい
概要
河口の稚児の舞は,河口浅間(あさま)神社の祭礼で奉納される少女による神楽である。近世に富士山信仰を背景とする河口御師(おし)が行っていた太々(だいだい)神楽(かぐら)の神子(みこ)舞の流れを汲(く)むと考えられる。山梨県富士河口湖町の河口浅間神社の孫(まご)見(み)祭(まつり)(4月25日)と太々(だいだい)御神楽(みかぐら)祭(まつり)(7月28日)において神社拝殿で奉納される。伝承演目は「御幣(ごへい)の舞」「扇の舞」「剣の舞」「八方(はっぽう)の舞」「宮めぐり」の五番がある。演じるのは,かつては「オイチーサン」と呼ばれた少女たちで,緋色(ひいろ)の千早(ちはや),指貫(さしぬき)の上に錦の陣羽織を着,緋色の襷を締めた姿で,右手に鈴,左手に御幣,扇,剣などの採物(とりもの)を持って舞う。四方八方を意識した古風な舞振り,様式化された独特な足運び,拝殿から本殿前へと続く回廊めぐる「宮めぐり」など,特色ある内容を伝えている。稚児の舞の音楽は,胴(どう)(鋲留(びょうどめ)太鼓),鞨鼓(かっこ)(締太鼓),笛で構成される。