夏
概要
ティソは1876年、初めてエッチングを制作し、77年から85年まで80点以上の版画を完成している。1878年に制作された、
この「夏」もその1点。関連の油彩は、ティソの代表作「日傘の女(ニュートン夫人)」、「庭師」である。
「日傘の女(ニュートン夫人)」 の制作年は1878年頃である(「庭師」 は所在不明)。「日傘の女(ニュートン夫人)」 がジャポニズムの作風を、縦長の画面の全身像(足の一部は省略)にとどめているのに対し、「夏」では、モデルのニュートン夫人が 半身像(傘を持つ右腕は同じだが、「日傘の女」と異なり、左腕を添えた姿勢になっている)である。「夏」 はエッチングとドライポイントを併用し、美しい仕上がりとなっている。初版は、1979年、ロンドンのグローブナー・ギャラリーで発表されている。