旧松倉家住宅
きゅうまつくらけじゅうたく
概要
松倉家は、寛延2年(1749)頃に始まる商家で、当初、油屋を営んでいたが、明治18年(1885)頃に田を購入して地主となった。住宅のうち主屋は、明治37年(1904)の大火で類焼し、明治39年(1906)に再建された。
主屋は妻入の大型町家で、片土間二列型間取りに鍵座敷が付く。表側にコミセの名残である前土間に庇(ひさし)をつけ、続いて引き大戸の奥に通り土間を蔵前まで通す。通り土間に面して店座敷、中の間、オエを並べその背後に下座敷と二部屋を配置して、最奥に台所を置く。
米蔵と文庫蔵は土間を挟んで、主屋の背後に並ぶ。両蔵の規模はほぼ同じであり、棟札によれば米蔵が天保10年(1839)6月18日、文庫蔵は慶応2年(1866)7月の上棟である。土蔵2棟とその周囲の土間には、主屋に接続する覆屋をかける。
主屋は、正面外観及び片土間二列型間取りのよく整った配置となっており、江戸時代後期以来の久保田外町の伝統的町家の一形式を継承している。また、県内に現存する伝統的町家の中では大型で改変が少なく保存状態がよい。江戸時代末期の土蔵2棟は、建築年代が明らかであり、他の土蔵建築の年代を比定する指標となる