高岡市内引札
たかおかしないひきふだ
概要
引札は、現在の広告チラシに相当するものである。江戸時代に登場し、昭和初期頃まで刷(す)られた。客を「引く」という縁起を担ぎ、得意先や街頭で配られ、江戸では引札、上方では散(ちらし)と称された。
印刷技術も木版(もくはん)から、明治以降の石版(せきばん)・活版(かっぱん)印刷と技術の発達にともない、色彩の鮮やかさや濃淡の表現を可能にした。特に正月用の引札が多く、版元(はんもと)(印刷所)は歳末が近づくと、見本帳を持って全国の商店からの注文をとってまわる。そのため、現在の企業名入りカレンダーのように、なかには全く同じ図柄のものもある。
図柄には様々な工夫がこらされ、七福神や松竹梅などの縁起物をはじめとして、旧暦の暦(こよみ)や日露戦争などの時代・風俗もうかがえる多彩なものもあり、見る人の目を楽しませてくれる。
【1】引札「正絹 地縞類/高岡市守山町13番地/笠谷卯平」
そろばんをはじく大黒天と小判が入った箕をもつ福助。裃をきた男性。
【2】引札「糸綿打作類并 小袖わたるい/高岡市坂下町寺門/戸田重蔵」
日本国と清国各々3人ずつが同じテーブルについている図と辮髪の男から宝物等を受取る軍人図。
【3】引札「肥物 煙草 太物 古着 石油/高岡木町/中條喜〔 〕」
図柄は日の丸や提灯が飾り付けられた町中。明治28年の暦があることから日清戦争勝利に沸く町の図か。
【4】引札「船問屋并に荷物取扱/越中伏木港/丸田庄吉」
蒸気船と北前船の図。後方に和船が2隻。新年の挨拶入り。
【5】引札「船問屋并に荷物取扱/越中伏木港/丸田庄吉」
蒸気船と北前船の図。後方に和船が2隻。