蘭蕙同芳図
らんけいどうほうず
概要
岩陰に咲く蘭の花を墨の濃淡による水墨で描いた作品です。こうした作品を墨蘭といい、竹を描く墨竹、梅を描く墨梅とともに中国の文人に好まれた画題です。
タイトルに「蘭蕙同芳」(らんけいどうほう)とありますが、蘭も蕙もランのこと。ともによい香りがするので、すぐれた人徳の人物の喩えに用いられました。山中の岩陰に人知れずひっそりと咲くところが、特に文人の好みにかなったのでしょう。
筆者の梵芳(ぼんぽう)は、京都の建仁寺や南禅寺の住職を務めたこともある名僧。文人風の生活を好み、墨蘭の名手とされました。この絵の魅力は、職業画家によるものとは趣が異なる、のびのびと勢いのある線の美しさということができるでしょう。