牡丹綬帯鳥図
ぼたんじゅたいちょうず
概要
牡丹綬帯鳥図
ぼたんじゅたいちょうず
鶴亭筆 (1722-1785)
かくてい
江戸時代、明和6年/1769年
絹本著色
114.8×38.8
1幅
落款:「己丑春二月崎江/光寉亭漫作」
印章:「五字菴」(朱文方印)「寉亭圖書」(白文方印)「凥可否之間」(遊印、白文長方印)
来歴:池長孟→1951市立神戸美術館→1965市立南蛮美術館→1982神戸市立博物館
参考文献:
・神戸市立博物館『まじわる文化 つなぐ歴史 むすぶ美―神戸市立博物館名品撰―』図録 2019
・國立故宮博物院特別展『交融之美 神戸市立博物館精品展』図録 2019
・石沢俊「黄檗與南蘋―江戸時代絵画迎来中国新風格」『故宮文物月刊』第435号 台北・國立故宮博物院 2019
・石沢俊「鶴亭筆 牡丹綬帯鳥図」『國華』第1456号 2017
・神戸市立博物館・長崎歴史文化博物館特別展『我が名は鶴亭』図録 2016
・九州国立博物館『トピック展示 視覚×革命 異国と出会った江戸絵画―神戸市立博物館名品展―』図録 2013
・神戸市立博物館企画展『若芝と鶴亭―黄檗宗の画家たち』図録 2011
・神戸市立博物館特別展『コレクションの精華』図録 2008
・千葉市美術館『江戸の異国趣味―南蘋風大流行』展図録 2001
・神戸市立博物館特別展『花と鳥たちのパラダイス』図録 1993
長崎出身の黄檗僧・海眼浄光(1722-85)は、鶴亭の画号で画家としても活躍しました。彼は黄檗僧の墨戯といえる水墨花木図と、熊斐に学んだ南蘋風花鳥画を得意としましたが、京坂に初めて南蘋風花鳥画をもたらした画家として近世絵画史上、きわめて重要です。
本作品は鶴亭の著色花鳥画の代表作で、太湖石に留まる一羽の綬帯鳥と満開の牡丹を描いています。活き活きとした綬帯鳥の表情、鮮やかな色彩、余白を活かした巧みな構図など、鶴亭画の魅力に富んでいます。さらに、吉祥性に富むモチーフの組み合わせも見逃せません。富貴や最高位の象徴である牡丹は満開の花と蕾を描くことで、繁栄の永続を示唆しています。綬帯鳥は「綬」と「寿」、「帯」と「代」、「綬帯」と「受帯」の音通から、代々官位に就くことを寿ぐ意味があります。鶴亭と親交のあった黄檗僧や文人の一派、一家の慶事に際して、吉祥の願いと思いを込めて描かれたと考えられる作品です。
【長崎ゆかりの近世絵画】