大根にねずみ図
だいこんにねずみず
概要
薄墨を刷いた夜空に浮かぶ二股大根。墨のにじみを活かした菜っ葉の左上には濃墨で曲線を描き、夜空の月のようにも見えます。よく見ると、かわいらしい白ねずみが菜っ葉を食べています。鶴亭の自題から、甲子の日の夜に子の刻(23時~1時)まで起きて語り合い、大黒天を祭る「甲子待ち」にちなむ作品とわかります。甲子の日は六十干支の一番目で、吉日と考えられてきました。絵画と俳諧に遊ぶ鶴亭の魅力を伝えてくれる作品です。
甲子や大根の名も
不老富貴かう(孝)のもの(者)とも
成そ目出たし
寿米翁自題
[「甲子待ち」をする甲子の日を迎えた。大黒天の名が富貴に通じて孝の者となるように、二股大根を菜っ葉まで風呂吹き大根にして、香の物として全部食べてしまうのはなんともめでたいことである。]
【長崎ゆかりの近世絵画】