紫紙金字 大方広仏華厳経 入法界品 断簡
ししきんじ だいほうこうぶつけごんきょう にゅうほっかいほん だんかん
概要
最も高貴とされる紫紙に銀泥で界を引き金泥で書写されている。その見事な調和と唐代の書風を受けた謹厳な書は、見る人の心を浄土へと導くかのようである。
紫紙金字華厳経巻第六十五が完本で現存しており、重要文化財に指定されている。その作品は紙背に「東大寺印」の朱文方印が押されており、もと東大寺の蔵経であったことが知られている。文字の形・紙の状況などから鑑みて本作品は同じ写経所の筆であろう。また、国分寺経として諸国に奉納された「紫紙金字金光明最勝王経」も同様な書写形式で、同時期の遺品と推定される。(名筆へのいざない―深遠なる書の世界―解説より)