越中国鉄物細工之図
えっちゅうのくにかなものさいくのず
概要
三代歌川広重の版画で大日本物産図会の1枚である。版元は東京日本橋の錦栄堂萬屋の大倉孫兵衛。
大日本物産図会は、明治10年(1877)に開かれた第1回内国勧業博覧会に際して全国各地の物産品を紹介した図絵である。
本資料は明治期の高岡銅器の製造・販売の繁盛ぶりを描いたものである。中央の大きな銅器花瓶の仕上げ作業をしているのか、鏨や金槌を持った3人の職人が囲んでいる。その様子を数人が見物している。左側には「博覧会出品」と書かれた箱に花瓶を入れており、背景には荷を載せた小舟が漕ぎ出している。高岡の外港・伏木湊(小矢部川河口左岸)の景であろうか(高岡金屋町沿いの千保川への出荷場か、木町の川湊の可能性もある)。
【枠内釈文】
鉄物は新川郡亀谷村
より産す、職工鎔(トカ)し煆(キタ)へて
火鉢・鉄瓶及鍬・鎌等を製ス、
殊に高岡にて製する仏
具、その他の物品其製良
工にして、鳥獣・草花の毛(ケ)
彫(ホリ)細密(サイミツ)なり、就中内国勧
業博覧会へ出品の花瓶
は頗る精妙にして、賞牌を
たまはりしと云