萌黄地卍唐花模様袷法被
もえぎじまんじからはなもようあわせはっぴ
概要
萌黄地に卍文を石畳状に配し、そこに上文のように大きな6弁の蔓付き唐花文を散した袷法被である。
卍文は、インドでビシュヌ神の胸毛より起こった吉祥のしるしで、仏菩薩の胸・手・足などに現れた吉祥・万徳の相を示す。日本や中国では釈迦の象徴と考えられていた。図形には向きによって2種類があり、活字の卍とは逆向きの右卍と呼ばれる形が原形とされ、卍は左卍になる。この装束でも、よく見ると、左卍文と右卍文を1段ずつ交互に配置している。
袷法被は半切を着けて鬼神、荒神役に用いたり、大口を着けて武人の甲冑姿を表すため、金襴の武張ったものが多い。この袷法被も金糸が多くの面積を占め、大きな唐花文を大胆に配置することで、豪壮な雰囲気を醸し出している。