児童文殊図
じどうもんじゅず
概要
右手に剣、左手に経典を持ち、獅子にまたがる文殊菩薩は、普賢菩薩とともに釈迦如来の脇侍で、仏の智恵(般若)を象徴しています。日本絵画においては、一つの型として、古くから文殊菩薩を王朝時代の稚児の姿として表すことが多く、特に土佐派の絵師たちはこの画題を好んで描きました。鮮やかな色彩が施された獅子は動感に満ち、あどけない文殊の容姿と対照的です。
橋本静水は、広島県尾道市生まれ。画家を志して上京し、東京美術学校に入学。初め正素と号し、橋本雅邦に師事します。1898年に岡倉天心が東京美術学校長を退くに際し、雅邦らに従って自ら同校を離れます。雅邦の画塾・二葉会では幹事を務めました。1914年の日本美術院の再興に際して院友となり、1916年同人に推挙されます。以後院展を主な活動の場とし、花鳥画や人物画などを数多く描きました。