弘法大師御勘文
こうぼうだいしごかんもん
概要
空海(弘法大師、774~835)に関する各種の史料を年代記にまとめた空海伝。
上巻は、はじめに大宝元年(701)から宝亀4年(773)までの略年代記を記し、そのあと宝亀5年(774)の空海誕生から弘仁4年(813)40歳までを収める。下巻には、弘仁5年(814)から承和2年(835)で入定するまでの記事を掲げ、最後に後太上天皇(淳和天皇)弔空海喪御書や観賢僧都がみた霊異談などを附している。文中には平安時代末期の朱墨の仮名やヲコト点(円堂点)などが見られる。
本書の成立は未詳であるが、おそらくは平安時代に醍醐寺の僧によって著されたものと考えられており、空海伝の成立を考える上に貴重である。書写年代は、書風からみて平安時代末期と思われる。
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.308, no.138.