観世音菩薩受記経(聖武天皇勅願経)
かんぜおんぼさつじゅききょう
概要
天平6年(734)、聖武天皇が国家安泰万民安楽にため、写経司門部王 (天武天皇の孫高安王の弟)主宰の下に敬写を勧めたいわゆる聖武天皇勅願一切経中の一巻で、ほかに『仏説七知経』(京都・檀王法林寺蔵)、『双観無量儒経』巻上(大阪・逸翁美術館蔵)が伝存する。その奥書に「写経司」の名称が登場し、官立の写経所で書写したことが明らかな最古の遺品である。やや扁平な、筆力ある謹厳な楷書の書風は、その後の写経体の嚆矢としうる。
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