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東京府・東京市行政文書

とうきょうふ・とうきょうしぎょうせいぶんしょ

概要

東京府・東京市行政文書

とうきょうふ・とうきょうしぎょうせいぶんしょ

文書・書籍 / 明治 / 大正 / 昭和以降 / 関東 / 東京都

東京都

明治~昭和

アンブロタイプ・フェロタイプ・鶏卵紙写真

33807点

国分寺市泉町2丁目2-21

重文指定年月日:20140821
国宝指定年月日:
登録年月日:

東京都

国宝・重要文化財(美術品)

 慶応4年(1868)開設の東京府、明治22年(1889)開設の東京市およびその他関係機関にて授受、作成し、部類別に編綴された簿書形態で保管された行政文書群であり、昭和18年(1943)の東京都設置以前のものを対象とする。これらは組織の変遷を反映して府・市文書を中核に郡役所、区役所、編入町村役場文書から構成される。
 東京府文書2万1822点は、東京府文庫で保存・管理された文書と地図類等で、特に鉄道馬車や電気軌道、地下鉄等交通網の整備をはじめ東京の都市形成過程を示す文書を豊富に含む点が特徴である。また、府は私立学校や会社等の設立許可を管轄したため、その事務手続文書も多く存し、高等教育や産業史の基本資料としても評価される。
 東京市文書1万1114冊のうちには「法令類纂」、「府治類纂」等府の公文書を編纂した写本や、河岸地(官有地)の管理台帳等、府からの引継文書が含まれる。さらに「東京市史料」等編纂資料として収集された資料もまとまる。なかでも関東大震災後の復興事業に関係する簿書が多数残される点が特筆される。多大な被害を受けた東京市では、都市基盤の復旧が急務で、「継続帝都復興費」の名の一連の簿書群は、諸事業の計画から実施の過程をよく伝える。一例として市は不燃化・耐震化を目的に、「坂本尋常小学校」(復興小学校と通称される)をはじめ、公立学校を鉄筋コンクリート造に改めたことが、「小学校建設費」等の簿書から知られる。この政策は小学校を緊急時の避難場とする震災後の都市計画の一環でもあった。
 明治11年から大正15年(1926)まで東京府には計8つの郡役所が置かれた。その廃止に際し、文書は府に引き継がれたが、昭和13年に大量廃棄された。郡役所文書142冊はそのうちの荏原郡を除く7郡役所の文書である。
 区役所文書268冊は、15区時代以前の簿書群で、大半が麹町区役所文書であるが、一部、芝、赤坂、下谷、本郷区役所の文書を含む。全て明治時代の文書で、前身の大区小区の文書も含み、区文書が多数散逸するなか、区制の実態を知りうる資料として貴重である。
 編入町村役場文書461冊は、昭和7年の東京市への5郡編入時、同11年の北多摩郡千歳村と砧村の世田谷区編入時に、市に引き継がれた文書である。現状では人事関係文書等を中心とする簿書のみが残される。
 これらの文書群は、近代における東京府および東京市の基本政策を知りうる系統的な一括資料である。また、簿書に収載された個々の文書事案からは近代都市としての東京の形成過程が理解され、近代国家としての日本の首都の役割における社会・歴史的展開を知る上での基本資料として評価される。

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