山水園庭園
さんすいえんていえん
概要
山口市中央部の湯田温泉に位置しており,元々大正期に個人の別荘として造営が開始されたが,完成前に売却され,最終的に昭和11年(1936)に中野仁義(なかのひとよし)の所有するところとなった。中野は温泉旅館「山水園」を創業し,昭和25年(1950)に茶室棟,宴会場棟等の建物を増築した。庭園もその頃ほぼ現在の形に整えられた。
標高約120mの障子岳の南麓に広がる庭園は,敷地の東半分を占める池庭(いけにわ),西南隅に位置する枯山水,茶室周りの茶庭(露地)の3つの部分から成る。主屋建物群の東に位置する池庭は回遊式で,園池の周囲から山裾の小高い部分へと園路が延びる。古写真等の資料から,池庭の主要な部分は造営時に造られたことがわかる。宴会場棟の前に造られた枯山水は一面に敷き詰められた白砂に小ぶりの景石を配置し,昭和25年(1950)の茶室棟の建築と同時期に造られた茶庭とともに,京都の庭師後藤重栄(ごとうじゅうえい)によるものである。近代の山口県における造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。
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国指定文化財等データベース(文化庁)