半田の酢醸造用具
はんだのすじょうぞうようぐ
概要
本件は,愛知県半田市で近世以来,製酢業を営んできた中埜家が使用していた酢の醸造用具である。知多半島は,古くから酒造業が盛んであり,文化年間に,初代又左衛門が酒造の副産物である酒粕を利用して粕酢の生産に成功し,江戸における鮨の流行と呼応して製酢業を発展させた。この中埜家の醸造用具一式が昭和59年に半田市に寄贈され,それらを分類・整理したのが本資料である。
酢の醸造は,明治時代に汽缶が導入され,昭和30年代には機械化が進むが,本資料は,それ以前の伝統的な粕酢醸造の工程である原料処理,フナ場,ワカシ場,仕込,貯蔵,濾過,詰口という7段階の各工程で使用された一連の用具から構成される。その他に,販売用の看板,仕事着,信仰用具が含まれている。(※解説は指定当時のものをもとにしています)