妙法蓮華経 巻第五 提婆達多品第十二
みょうほうれんげきょう まきだいご だいばだったほんだいじゅうに
概要
銀で界線を引き、鳥や草花を下絵に描いた実に優美な装飾経である。鳥下絵経とも呼ばれる。完成当初の姿を想像してみると、現在酸化して黒く見えている界線や鳥・草花が銀色に輝いて、えも言われぬ清浄な経巻であったろう。
朱の点・ふりがな及び墨のふりがなは古体かなで書かれているが、その形から鎌倉時代に後から付されたものと思われる。
料紙の折れ目や傷み具合は、巻物→折本→巻物と形体が変わったことをうかがわせる。一行目「第十二」の下方に「五」とあり、尾題に巻第五と明記され、法華一品経の八巻本であった。尚、平成の改装の際に、軸先は螺鈿軸を再新補した。(『名筆へのいざない―深遠なる書の世界―』海の見える杜美術館2012 解説より)