金光明最勝王経註釈 巻第二断簡(飯室切)
こんこうみょうさいしょうおうきょうちゅうしゃく
概要
褪せた浅葱の紙に、本文を大字に、註を双行に書写しており、平安初期の雄勁なる書風を伝える。ところどころに胡粉の書き入れがあり、古来本文の書写を嵯峨天皇とし、胡粉の書き入れを弘法大師と伝えるが、書風は嵯峨天皇の宸翰として知られる延暦寺の「光定誡牒」とは異なり、また胡粉の書き入れも弘法大師の筆との確証はない。比叡山横川飯室別所に伝わったので、その断簡は「飯室切」と称されている。『金光明経最勝王経』は奈良時代以来数多く書写されているが、その註釈本を書写したものははなはだ少なく、古くよりこの断簡は古筆切として珍重され、ことに本巻のような長尺は稀少である。なお本館には平安初期の白点本として、『四分比丘尼戒本』一巻も蔵される。
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