浄土ヶ浜
じょうどがはま
概要
三陸海岸の宮古湾の西岸から湾内に突き出た臼木(うすぎ)半島の北東端部には,乳白色の岩塊群とその内側の礫浜(れきはま)からなる浄土ヶ浜の海浜が展開する。
浄土ヶ浜の地形は,約12万5千年前から約1万8千年前の最終氷期に海面が下がった後,約7千年前までに進んだ海面の上昇の過程で岩塊が削られてできあがったものと考えられている。
岩塊と礫浜は,流紋岩(りゅうもんがん)からなり,照り耀(かがや)くような美しい乳白色を呈する。大きな岩塊の上方付近は波の影響を受けにくく,アカマツを中心とする植物が岩面に張り付くように生育している。海面から天を鋭く突くかの如く連なって並ぶ乳白色の岩塊群と,その上部を穏やかに彩る緑の樹叢(じゅそう)との対比が,浄土ヶ浜の風致景観を際立ったものとしている。
浄土ヶ浜の風致景観は,江戸時代の紀行文などにおいて,自然が造形した「浄土」の光景として広く紹介されるようになり,近代においては,宮沢賢治が昆布の干場として使われた浄土ヶ浜の礫浜の風景を短歌に詠んだ。
その名所としての風致景観の価値は高く,よって名勝に指定し保護するものである。
所蔵館のウェブサイトで見る
国指定文化財等データベース(文化庁)