越後縮の紡織用具及び関連資料
えちごちぢみのぼうしょくようぐおよびかんれんしりょう
概要
我が国の庶民の衣料として木綿普及以前に利用されてきたものの一つに麻(大麻・苧麻【ちょま】・亜麻など)がある。越後は、このうち苧麻(カラムシ)を原料とした麻織物の産地として著名であった。
越後の麻布は、『吾妻鏡』などにも記録されるが、「縮」と呼ばれるようになるのは、寛文年間(1661~1672)以降とされる。越後縮は、苧麻の繊維を原料とした越後産の織物を総称し、新潟県の南・北・中の魚沼三郡と小千谷市・十日町市及びこの地域に隣接する東頸城・刈羽・古志の各郡を主産地とし、その原料の集積地や製品の交易地の中核が現在の南魚沼市(旧塩沢町)・小千谷市・十日町市などであった。
この資料は、十日町市を中心に中魚沼郡・南魚沼郡などから収集した越後縮の紡織用具及び関連資料で構成される。
紡織用具は、製作工程を考慮し、苧績み・撚掛け用具、整糸用具、染色用具、機織用具、仕上げ用具に分類・整理し、地域的特色のある用具も多くみられる。
関連資料には、原料の苧麻の栽培に関する用具類のほか、織手の女性の仕事着や仕事場にあった灯火・暖房用具、家事・育児用具などまで収集されている。また販売用具には、商品見本や反物の包装・格納用具、帳簿類などがある。