薄紅地鱗丸龍雲模様厚板唐織
うすべにじうろこがんりゅうくももようあついたからおり
概要
加賀藩主前田家に伝来した能装束の一領である。薄紅の地に茶・白・浅葱・萌黄・紫を濃淡様々な色で鱗模様とし、さらに丸龍文と如意雲文を交互に織り表している。
附属する畳紙に「十二/御地色絵鱗形/御厚板唐織 壱ツ/模様色絵丸龍雲/文化五年新出来」と墨書があり、加賀前田家伝来の能装束群に共通する「厚板唐織十一番」「貴 厚板唐織第六番」等の貼札もみられる。この畳紙によって、文化5年(1808)に新調されたことが判明する。加賀前田家に伝来した能装束群の畳紙墨書では、文化5年より前の年紀のものが確認されていない。それは同年1月15日に金沢城二の丸御殿が焼失したためで、その際に能道具の多くも失われたであろうことが推定されている。