次伊達政宗征南詩韻
概要
10代佐賀藩主・鍋島直正(1814~71/号 閑叟)が、 嘉永~安政年間頃に書した作品。一行目「奮」字の右払いなど全体的に鋭い筆跡が目につく。スピード感のある止め・ハネなど呵成に書き付けた感が強い。この 詩は、仙台藩主伊達政宗が慶長遣欧使節に関して詠んだ詩を見て感じるところのあった直正が、「豪斯洲」すなわちオーストラリア進出を構想して嘉永4年 (1851)に詠んだもの(直正漢詩集「野人亭稿」に収録)。本作品の書風は、直正の代表的な書として「先憂後楽」の呼び名で知られる安政3年 (1856)の「范仲淹・岳陽楼記句」(佐賀県立博物館・美術館所蔵)に近い。このことから、嘉永4年以降さほど遠からぬ時期の作品と見られる。