仙巖園
附 花倉御仮屋庭園
せんがんえんつけたりけくらおかりやていえん
概要
仙巖園は欝蒼たる暖地性樹林におおわれた磯山を北に背負い、その急崖の下の扇状地を整理して築造されたものである。南正面に錦江湾を隔てて桜島の全容を借景とする。建物の前面を広くとり、海浜に向って二段の地割とし、要所に石組、石灯篭等を置く。万治2年島津光久の別館としてはじめられ、明治初年までの間に局部的な補修が行われたが、雄大開豁な規模と地割とはよく保存され特異の意匠をもつ大名庭として著名である。
花倉御仮屋は仙巖園の東約500メートルにあり、天保初年に島津家離舘として営まれ、いくばくもなくして廃せられたものであるが、その庭園の滝、溪流の護岸、石槁等巨石を用いた豪宕な石組はいちじるしい改変を受けずに残され、江戸時代末期のものとしては特に優れた景観を伝えている。