草白釉釉描加彩月下木乃葉ずく陶筥
そうはくゆうゆうびょうかさいげっかこのはずくとうばこ
概要
作者は東京に生まれ、東京美術学校工芸科図案部を卒業し、加藤土師萌や富本憲吉に陶芸を学びました。若き日は前衛陶芸を試みましたが、方向転換して伝統的な色絵磁器の技法を追究。色絵具の混色による中間色の発色、素地の釉薬や描法を研究し、色絵の絵画的な表現を洗練、深化させて新境地を切り開きました。東京藝術大学で後進を指導し、昭和60年同学学長に就任。昭和61年色絵磁器の人間国宝に認定されました。
月光に照らされた夜空と、枝葉のシルエットを背景に、耳をそばだてて目を見張る木乃葉ずくが梢に停まっています。「草白釉」とは絵付けの地となる青味を帯びた透明度の高い白磁釉。「釉描加彩」とはこの白磁釉に色釉で絵を描いて本焼きし、その上から従来の上絵付けを行う技法で、いずれも作者が開発しました。この工夫により、絵付けの奥行が深まり、木乃葉ずくが浮かび上がり、背景には吸い込まれるような空間を感じることができます。