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諸塚神楽

もろつかかぐら

概要

諸塚神楽

もろつかかぐら

無形民俗文化財 / 九州

選定年月日:19931126
保護団体名:諸塚神楽保存会

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

 これは宮崎県の山間部に位置する諸塚村【もろつかそん】の南川【みなみかわ】、戸下【とした】、桂【かつら】の各集落に伝承される神楽で、地域ごとに毎年冬期に演じられている。南川【みなみかわ】と戸下【とした】では、例年夜を徹して三十数番を演じ、一〇年に一回ほどの、例えば神社社殿の修復完成など地域の節目となるような年には、特に大神楽として五十番近くを演じる。桂【かつら】は、戦後戸数が激減し例年の神楽で演じられるのは四、五演目であるが、近年行われた大神楽では二十演目ほどを上演している。
 神楽の前日には、神楽宿【やど】に接して、その屋外に張り出すように御神屋【みこうや】(神高屋【みこうや】・御高屋【みこうや】とも)を設け神楽を舞う場とする。これは仮の宮ともよばれ、四方吹き抜けの小屋に床を張ったもので、四方の柱、垂木【たるき】などは椎【しい】の木を用い、切妻【きりづま】の屋根は青竹で葺き、正面奥に供物を供える棚を構え、その外側には親注連竹【おやしめだけ】とよばれる青竹を地上から立て、笹がついた先が屋根の上に出るように固定している。なお近年桂【かつら】では、神社境内の神楽殿を神楽の場とし、その外部に接して供物の棚と親注連竹などの部分を特別に構える。
 当日は、まず神社から御神屋まで、神面を付け、それぞれの神となって行列して練り込み、御神屋に着座した後に所定の神の舞を演じる「舞【ま】い入【い】れ」を省略せずに伝え、南川【みなみかわ】と戸下【とした】では神楽宿とは別に、来客などを接待するための脇宿【わきやど】を備えるなど、御神屋を構えることとともに古風を伝えている。また神楽の唱えの文書記録や、神楽面、舞衣など江戸時代からの神楽関係資料が伝わっており、さらに戸下で演じられる「山守【やまもり】」という演目は、山の神信仰や狩猟儀礼、焼畑文化との関連で注目されるなど、芸能の変遷の過程、さらに地域的特色を示す重要なものである。

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キーワード

神楽 / / / 演じる

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