住吉神社本殿
すみよしじんじゃほんでん
概要
住吉神社本殿 一棟
住吉神社は神功皇后が創祀したと伝え、のち長門国一の宮と称された。本殿は応安三年(一三七〇)大内弘世の造営になる。九間社流造の長い建築であるが、これは一間社の神殿を横に五箇つなぎ、その間を相の間で連絡した形である。神殿正面を板扉とするのに対して、相の間は引違板戸となっており、神殿と相の間には、長押、組物、蟇股の扱い方にも差がつけてある。前面の向拝は九間を一連のものとして、蟇股を飾る。また屋根には神殿上に五ケ所の千鳥破風をつけ、全体として特異な流造を形成している。
以上のように形態に特徴があり、細部手法も優秀であって、室町時代の神社建築の遺構として貴重である。
なお神殿内にはいずれも本殿と同時と思われる玉殿がある。三手先組物を組んだ一間厨子で、建築手法を知る上に良い資料である。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)