山水図
さんすいず
概要
山水図
さんすいず
紹仙は、大徳寺真珠庵に襖絵を描いた夫泉宗丈の子、祖父を兵部墨谿とすると伝え、自らも越前朝倉氏の庇護を受け、兵部景種の名で呼ばれた曾我派の画家というが、なお不明のところも少なくない。図は、主山を後景の中央に据え、近景に双松を配する周文系山水図の伝統を踏襲するものながら、古様なところはすでになく、筆法は滋潤で豊かなものとなり、各景の配置も自然で、安定感を増している。
図中に、大永3年(1523)建仁寺246世の月舟寿桂が医僧安溪に請われた序と著賛がある。月舟寿桂は幻雲と号した禅僧で、語録『幻雲文集』には紹仙筆「瀟湘八景図」に寄せた後序を載せ、またほかに紹仙筆月舟題詩の「山水図」(東京芸術大学蔵)をのこすことからも、両者の交友の深さがうかがわれる。その交友はいわゆる朝倉文化圏におけるやりとりとも解されるが、いずれにせよ、詩画軸の時代の掉尾を飾る作品である。図下辺中ほどに朱文重郭方印「紹仙」を捺す。
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