ホトガラヒーノ説
ほとがらひーのせつ
概要
長州藩(萩藩)の代表的な科学者中嶋治平が長崎滞在中の万延元年(1860)オランダ語の書物を翻訳したとみられるもの。幕末に移入された湿板写真についての解説書で、日本では最初期のものとされる。現在のフィルムにあたるガラス湿板やコロジオンなど薬品の作り方を説明し、またカメラやレンズ、三脚、暗室など撮影器材に関しても図入りで紹介する。治平は朝鮮通詞の家に生まれ、語学の勉強のため安政3年(1586)から3年間長崎へ遊学した。写真以外にも製鉄・蒸気機関・ガラス・医薬・染色ほか様々な科学知識を修得して藩に実用化を意見し、うちいくつかは実現した。