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白鳥の拝殿踊

しろとりのはいでんおどり

概要

白鳥の拝殿踊

しろとりのはいでんおどり

無形民俗文化財 / 中部

選定年月日:20030220
保護団体名:白鳥拝殿踊り保存会

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

 白鳥の拝殿踊は、岐阜県郡上郡【ぐじょうぐん】白鳥町で、毎年八月下旬を中心に、町内の神社拝殿で踊られている。踊り手は下駄履きで、踊り手の中から歌い出す者がいて、それに合わせて他の踊り手が歌いながら踊る。三味線や太鼓などの楽器の伴奏はなく、拝殿の板床を踏み鳴らす下駄の音が踊りの調子を整えていく軽快な踊りである。
 白鳥町は、岐阜県の奥美濃地方、長良川の上流域で福井県の県境にあたる。この地域での村々の踊りについては、一七世紀に行われたという記録が残り、また一八世紀には拝殿で夜通し踊ったという記録や盆踊り停止の書状が届いたという記録もあり、当時、拝殿で盛んに踊られたと考えられる。
 現在、毎年八月十七日の夜に白鳥神社で、八月二十日の夜に貴船神社で、それぞれ拝殿で踊りがある。なお白鳥神社では、秋の祭礼の九月十九日に近い日曜日の夜にも拝殿で踊りが行われる。踊りの夜は、拝殿の天井中央に、キリコ(切子灯籠)を下げる。踊り手は浴衣に下駄履きが原則で、夜の八時ころに板張りの拝殿に数人が上がる。輪になった踊り手の一人が歌い出して踊りが始まり、踊り手全員で囃子詞【はやしことば】を歌いながら踊りが進む。踊り歌は「源助さん」「シッチョイ」「ヨイサッサ」「ヤッサカ」「エッサッサ」「ねこのこ」「ドッコイサ」で、歌に応じて踊りが違う。いずれも三味線や太鼓、笛などの楽器は使わない。下駄で拝殿の板床を踏み鳴らし、その音で調子をとりながら軽快に踊られる。徐々に人びとが加わり、踊りの輪は三重、四重と拝殿内一杯になる。踊り歌は、歌い出す者が適当に選び、それに応じて他の人びとの歌と踊りが続き、夜一〇時過ぎに終わる。
 神社拝殿など板敷きの堂内での下駄履きの踊りは、かつて奥美濃地方や飛騨地方のほか、富山県五箇山地域や奈良県吉野郡十津川村で行われていたとされ、今も岡山県真庭郡八束村【まにわぐんやつかそん】、川上村【かわかみそん】の大宮踊で行われているが、それらの中で白鳥の拝殿踊は、現在も多様で軽快な歌と踊りを伝えている。
 なお、白鳥の拝殿踊は、戦後、三味線や太鼓、笛の演奏がつけられ、それらの演奏者と歌い手が乗った踊屋台を設け、その踊屋台を取り巻いて街路で人びとが踊る形でも行われてきた。さらに昭和四十年代になるとキリコを町の中にいくつも下げ、八月十三日・十四日・十五日の徹夜踊りを中心に、七月下旬から八月下旬にかけて町内各所で踊られている。

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キーワード

踊り / / 踊る / 歌う

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