木造如意輪観音坐像
もくぞうにょいりんかんのんざぞう
概要
ほぼ等身の六臂通行の如意輪観音像である。木心をさけた榧の一材から頭躰の主要部を彫成し、これに別材製の六本の手と足を矧付ける簡潔な構造で内刳りは行なっていない。
頭をまっすぐにたて正面する姿は、この像種のものの中では古様とみられ、幅奥共に充分な厚味のある上躰など、いかにも平安初期一木彫像らしい重厚さを示している。これに対して手足は細目で、衣文も鎬立ってはいるがあまり深いものではない。制作は十世紀頃と考えられるが、如意輪観音像としては、国宝観心寺像に次ぐ古作として貴重な遺品である。