玉陵 墓室 (東室)
たまうどぅん ぼしつ
概要
玉陵は,首里城の西側に位置する琉球第二尚王統の王陵で,三代尚真王により1501年に築造された。ほぼ長方形の平面に廻らす石牆の奥に3棟の墓室を連立させ,前方に祭祀のための広い前庭を設ける。墓室は,自然の洞穴を利用しながら前面に石灰岩の切石を精緻に積み上げて切妻造の墓室を築造した,いわゆる破風墓の形式を持つ。中室には洗骨前の遺体を安置し,洗骨後に,東室に王と王妃を,西室に王族を納骨したと考えられる。
玉陵は現存最古かつ最大の破風墓を中心とする規模壮大な王陵であり,琉球の葬送慣習を伝えるとともに,被葬者に応じて墓室を区分する王陵ならではの特殊性も有している。グスクと共通性のある空間構造を持ち,建築的特徴の顕著な墓室や高欄の精緻な造形なども独特で,意匠的にも優れており,東アジアにおいて独自の文化的発展を遂げた琉球地方における,建築文化と葬墓制を象徴する極めて完成度の高い陵墓として,深い文化史的意義を有している。