仁科神明宮 本殿
にしなしんめいぐう ほんでん
概要
仁科神明宮社殿 二棟
神明宮の創祀は、古く仁科御厨鎮護のために天照大神を勧請したのに始まり、社殿は古来二十年ごとの式年造替の制が守られてきた。現在の社殿は寛永十三年(一六三六)松本藩主松平直政が式年造替に際して造営したものと伝わるが、延宝四年(一六七六)の造営文書に全柱の取替材が含まれており、修理とは特定し難く、この頃の造営と見るべきかもしれない。以後十数回の修補を経て今日に及んでいる。本殿は桁行三間、梁間二間の神明造で、破風板がそのまま延びて千木となり、破風板に鞭掛があり、妻には棟持柱があるなど、構造手法には古式がうかがわれる。これは造替に際して、工人が世襲的に奉仕し、様式を厳格に保持したためであろう。本殿の正面には中門(前殿)があり、釣屋をかけて両者を連絡している。
この本殿は神明造の純粋な形式を濃厚に保存している点で、貴重な遺構である。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)