巴形銅器
ともえがたどうき
概要
ぐるぐると渦を巻いたような形の青銅器(せいどうき)です。一体何に使うものか、わかりますか?よく見ると、円の中心に穴があいています。この穴に棒を通して、戦いの際に盾(たて)や、弓矢の矢を入れる容器に取りつけたとされています。4枚の羽根の先はとがっていますが、武器として使っていたわけではありません。古代では、とがったものは悪いものを追い払うという考えがありました。つまり、戦場で自分を敵から守るためのいわばお守りであったと考えられています。今は青銅が錆びて青緑色になっていますが、当時は金色に光り輝いていましたので、戦場でも目をひいたかもしれません。
このような巴形銅器(ともえがたどうき)は日本独自のもので、2世紀、弥生時代の終わりごろから作られました。当初は羽根が7、8枚ついていて、真ん中は円錐形に盛り上がっていました。特徴的なその形は、スイジガイという巻貝を模したものではないか、という説が有力です。この作品は、中心が円錐形ではなく平らな円になっていることから、巴形銅器の中でもかなり後の時代に分類されています。