灰釉双耳瓿
かいゆうそうじほう
概要
まるまると膨らんだ胴部をもち、頚部のない壺「瓿」の灰釉陶である。平底はわずかに内側にくぼむ。肩部には一対の把手をつける。把手は全体で鬼面を象っていて、型押しで成形される。胴下部の内面には輪積み痕が、肩部の内面には当て具によって連続的につけられたくぼみがある。灰釉は胴上部から口縁部にかけての外面と、底部内面にかかっており、オリーブ色を呈する。
中国で植物の灰を釉薬とする陶器の上限は新石器時代にまで遡る。しかし、本格的に定型化された灰釉陶の大量生産が始まるのは、前漢末から後漢時代前半にかけての時期(紀元前1~後1世紀)のことである。浙江省と江蘇省およびその周辺の漢墓から類例が大量に出土している。漢時代の灰釉陶は中国における青磁の萌芽的段階として捉えられ、中国の陶磁史上において重要な位置を占めている。