賀茂競馬文様小袖
カモノクラベウマモンヨウコソデ
概要
上半身は紅絞染の角立石畳(すみだちいしだたみ)文様、下半身は斜に京・上賀茂神社の5月5日の行事・競馬(くらべうま)を、主として友禅染であらわしている。友禅染の細部は白い糊糸目(のりいとめ)や各種の多彩な色差しが特に精緻で、江戸時代中期の友禅染技法の高い水準をしめす。また楓葉のざわめくように乱れた表現は、2馬の馳けぬける速さや、見物する人々の熱気さえ感じさせ、上下の技法の対照的な扱いや、構成の巧みさとともに、丹念に練られた優れた意匠力をうかがわせる。現状は通例の小袖ながら、もとは小児の衣裳であったと考えられる。