渡唐天神像
ととうてんじんぞう
概要
半透明の黒い頭巾をかぶり水色の道服を着けて、左肩から右腰に鞄をさげる渡唐天神像を描く。右脇には梅花を抱えている。輪郭線に沿って隈をつけたややアクの強い顔貌や、腕・裾のまとまりのよい形態感を特徴とするため、本像は中国における制作と考えられる。上部の賛文は、永正8年(1511)の遣明使で正使をつとめた東福寺の高僧・了庵桂悟(1425~1514)の詩文を、中国・寧波(浙江省)の文人・方梅厓(16世紀中葉に活躍)が書写したもの。文化交流の観点からも大きな意義をもつ重要な作品である。