帝鑑図説
ていかんずせつ
概要
帝鑑図説
ていかんずせつ
江戸時代 慶長11年(1606)
紙本活字墨刷
前集(第1冊~第4冊):縦28.5 横19.2 厚1.5~1.7 後集(第5冊・第6冊):縦26.9 横19.0 厚1.2~1.4
6冊
慶長11年(1606)刊行の古活字版『帝鑑図説』(秀頼版有跋本)である。
『帝鑑図説』は、10歳で即位した明朝14代皇帝・神宗万暦帝のために、大学士・張居正らが中国歴代皇帝の善蹟(前集・聖哲芳規81話)と悪行(後集・狂愚覆轍36話)を編纂した挿絵入りの帝王学の書である。隆慶6年(1572)に編述され、翌万暦元年に大型版(潘允端版、宮内庁書陵部所蔵)が刊行されたほか、民間でも複数の普及版が流通した。明版がまもなく日本に輸入されると、慶長11年には豊臣秀頼への献辞を伴う古活字版(秀頼版)が刊行され、君臣の治道の鑑として幕末まで版を重ねた。また、その挿絵が城郭障壁画や屏風絵の画題として広まったことで知られる。
本資料においてとくに注目すべきは、第6冊巻末にある相国寺僧・西笑承兌の跋である。この跋には秀頼への献辞が含まれるが、後刷では、一説には徳川家への配慮から承兌の跋そのものが削除された。このため、「有跋本」は「無跋本」より制作時期が早いとされ、伝本も少ない。本資料は、秀頼版のうち稀少な「有跋本」の一例として高い価値を有する。